拡大する認知症保険マーケット

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高齢化社会によって、
認知症患者が増加しています。

2012年時点で462万人存在した
認知症患者ですが、
2025年には700万人となる見込みであり、

65歳以上の高齢者の、
5人に1人は認知症になっている、
とのことです。

そうした中で「認知症保険」という
新たな保険マーケットの
需要が生まれています。

認知症保険の内容見直しに
つながった事件として、
2008年に愛知県で
発生した認知症の父親が線路内に
侵入して鉄道事故が発生して、
後見人であるご長男に対して
管理責任が問われ、
鉄道会社から720万円の
損害賠償請求が行われた
というものがあります。

この事件は、最高裁判所まで争われ
2016年にご長男の賠償義務を否定し
鉄道会社の訴えは棄却されましたが、

この事件の内容を受け、
万一、後見人に賠償義務が
課されたときに、「個人賠償責任保険」の
支払い対象になるか、という議論が
保険業界でなされました。

それまでの「個人賠償責任保険」では
相手方に対人ないしは対物に損害があり
法律上の賠償責任がある場合に
支払い対象でしたが、

電車を止めただけでは
個人賠償責任の支払い対象に
ならないという約款上の
制限がありました。

こうした背景のもと、
その後保険各社より
認知症に関わる保険プランを
強化するようになりました。

2015年10月には、
三井住友海上火災と
あいおいニッセイ同和損害保険が、
「個人賠償責任保険」の契約内容を
改定し、後見人やその家族に
損賠賠償を請求された場合でも
保険金の支払い対象になりました。
上記のような鉄道事故は
2017年の1月から
対応できるようになりました。

2016年3月には、
東京海上日動火災保険と
損害保険ジャパン日本興亜が、
認知症患者が事故を起こした場合、
後見人に賠償金を支払う
損害保険を発売しました。

認知症の治療を支援する生命保険や、
昨今では、
「認知症になってから」でも加入でき、
患者が徘徊し行方不明になった際の
捜索費用などに備えることが
できる保険も登場しました。

自治体でも
認知症患者の増加に対応した
損害保険の仕組みが始まっています。

神奈川県大和市と海老名市では、
高齢者の方を被保険者として
保険料を市が負担する制度を導入。

認知症の方が徘徊して
電車や車と事故を起こした際の
第三者(鉄道会社など)への
賠償金として最大3億円を
補償するそうです。

認知症は発症のメカニズムがわからず、
特効薬もない「治らない病気」。

症状が重ければ重いほど
費用も負担も嵩みます。

介護費用は、認知症を患う場合と
そうでない場合で
およそ2倍の差があるとか。

公的保険を利用しても
抑えられる負担には
限度があります。

老後のリスクの一つとして
存在感の大きい認知症。
自治体の取組みも相まって、
認知症保険が今後マーケットとして
拡大し続ける可能性は高そうです。